ペルシア絨毯の歴史
紀元前2000年頃、現在のイラン高原の地に住み着き、アーリア民族として最初の帝国を築いたのはペルシア人であったと言われています。
一説にはペルシア絨毯もすでにこのころ織られていたといくつかの文献に書かれていますが、確かな確証はありません。しかしながら一つの証として、1949年にロシアのアルタイ山脈のバジリーク渓谷で氷結された絨毯が発掘され、約2500年前に手で織られたペルシア絨毯と推定されています。
しかしペルシア絨毯が世界に名を馳せたのは、16世紀から18世紀初頭の200年であり、この間二人の国王(タフマーブス1世とシャーアッバス1世)により、優れたデザイナーと織子を集め宮廷職人を育成し、最高の絨毯を作らせることに力を注ぎ、ペルシア文化のルネサンスを興したと言われています。この時期の代表作として、歴史上もっとも価値のあるペルシア絨毯とみなされている「アルダビル絨毯」や「チェルシー絨毯」(ビクトリア・アンド・アルバート美術館所蔵)等があります。
その後アフガンの侵略による一世紀近い文化の暗黒時代を経て19世紀後半に、タブリーズを中心にケルマン、カシャーンなどの地方都市において、それぞれの特色を持ったレベルの高い絨毯が織られるようになると、かつてのペルシア文化の中心であったイスファハンを初め、ナインやクムなどが追従し、現代に至っています。