ペルシア絨毯概論(製作工程)

*手織り絨毯の素材は自然の恵み
手織りのペルシア絨毯の素材は、羊毛、絹、綿などすべて天然素材、自然からの恵みで作られていますから安全です。
*衛生的な羊毛の処理
刈り取った羊毛を紡いだ後、繰り返し洗浄し、羊毛の油脂や汚れを取り除きます。衛生管理は十分に行われていますので、安心してご使用いただけます。
*繊細な糸の染色
天然染料(草木染)は、茜の根やコチニールは赤色、ザクロの皮は黄色、胡桃の殻は薄茶色、藍(インディゴ)は青色などを出すために使用されていますが、高価であることと、多種の色を出すことが困難なこともあり、現在では一部の工房と遊牧民の絨毯を例外として、ほとんどの絨毯は、高品質の化学染料を使用しています。
*歴史と伝統に活きずく絨毯のデザイン
遊牧民の絨毯は自然の風景をモチーフにデザイン画なしに織ることが多いのですが、工房の絨毯は専属のデザイナーが方眼紙にデザイン画を写し、一目一目色付けし熟練した織子がそれに従い織っていくという、合理的な分業制が一般的です。
*地道で専門的な作業 絨毯を織る
遊牧民の絨毯の織り方は、地面に水平に置いた織機を使用します。持ち運びに便利な織り具で、常に生活と共にあるのです。
一方定住民の織り方は、地面に垂直に置いた織機を使います。移動させないので、大きなサイズの絨毯を複数人数で織ることも可能です。
*伝統と合理性を兼ね備えた織りの工程 熟練工ならではの技術
  • まず織機に前後2列に縦糸を張ります。
  • 染色した糸をデザイン画に従って選び、2本の縦糸に交差させて結びカットします。この工程を横一列結び終えると、横糸と留め糸をそれぞれ縦糸に通して鉄櫛で結び目(パイル)をたたき、平らに目を詰めていきます。
  • 上記の作業を地道に繰り返します。
  • 織り上がったら上部の縦糸を切断し、絨毯の表面を平らにカット(シャーリング)し、パイルの長さを揃えます。その後汚れや余分な毛を取り除くため、水で洗い流し天日干しした後、もう一度シャーリングをして完成です。